第1章〈最強男〉

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この一撃は流石に効いたのか建物までぶっ飛び、豪快に壁を崩す。 ガラガラと崩れる壁を押し退けながらワームの目は未だ俺を捉えていた。 「流石に成体と言うだけあるな。硬いな。」 幼体を蹴った時は何とも思わなかったが、さっき蹴った時はまるで岩でも蹴ったかのような感触だった。 しかし、幾ら硬くても倒せないレベルじゃない。 立花が言っていた事は嘘だったのだろうか? しかし俺の疑問は一瞬で確信へと変わったのだった。 一瞬の出来事だった。 目の前のワームが消えたと思った瞬間俺は地面に倒れていた。 腹部に痛みが走る。 何とか立ち上がるとワームは数メートル先に立っていた。 「……何が……起こったんだ?」 俺の疑問は答えが解らないまま、またしても腕や腹部、顔に次々と痛みが走る。 成体は姿を消す事が出来るのか? いや、それだったら瞬時に此処までダメージは受けない筈だ。 ならば何故だ? 答えが解らないまま俺は体中にダメージを受け続ける。 完全に攻守が逆転し俺は一方的にワームの攻撃を受けていた。 俺は此処で死ぬのか? こんな所で死ぬわけにはいかない。 俺は全身の感覚を集中させる。 またしても消えるワーム。 しかし、さっきまでとは違い僅かではあるが奴の軌跡が見える。 腹部に今までで一番の衝撃が走り俺は豪快に後ろに吹っ飛ばされた。 だが、奴の能力は解った。 「消えたんじゃない……超高速で動いているのか……」 全ての感覚が強化されているライダーでも追えないスピード。 だからワームは消えたように見えた。 それでも視覚に神経を集中させれば僅かに軌跡は見える。 しかし、それでは攻撃や防御が疎かになる。 「………ならば一発で決めてやる。」 俺は?型の物体〈ドライブコア〉をベルトに装填しカードを差し込んだ。
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