第1章〈俺が正義〉

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織田は持っていた斧の持ち方を変える。 刃の部分を持ち、柄に当たる部分をワームに突き付け引き金を引いた。 同時に発車された光弾は全てワームに命中し爆発する。 成る程、飛び道具もありだな。 俺はドライブリーダーの液晶を見返し一番左のアイコンをタッチした。 するとヘルヘイムはフヴェルゲルミルへと戻り姿を変え、大型の弓へと変わった。 形こそ弓だが持ち手に引き金がある。 ボウガンに近い武器らしいな。 俺は1体のワームに狙いを定め引き金を引いた。 すると赤い光が矢となり飛んでいき、ワームの体を貫通する。 そしてワームは絶叫と共に爆発した。 これで残すは3体。 「織田。済まないが後は俺にやらせてくれ。試したい事があるんでな。」 俺はカードをドライブリーダーから取り出し弓と化したフヴェルゲルミルへと装填した。 「構わないが、決めろよ?」 〈RAVEN OVER DRIVE〉 ベルトの時と同じ電子音声が流れフヴェルゲルミルに赤い閃光が走る。 俺は矢を射るかのような動作を取り引き金を引いた。 すると先程とは比べ物にならない程の矢が残りのワームを貫いた。 俺の思った通り武器でも必殺技が使えるらしいな。 残ったワームは全て爆発し俺と織田は顔を見合わせた。 「流石にアルカナオリジナルの力は凄まじいな。威力だけなら俺なんかより確実に上だ。」 「そうでもないさ。大型の分、威力は高いが小回りが利かない。ワームみたいに素早い敵には相性が悪すぎだ。」 俺達が談笑しているとトレーラーで待機していた他のメンバーから連絡が入った。 『織田さん。ご無事ですか?』 「岬か?秋津の活躍で終わったよ。」 『?おかしいですね?ワームの反応、まだ消えてないんです。潜んでいる可能性があるので警戒を怠らないで下さい。』 「了解だ。一通り見回ったら帰還するよ。」 『解りました。秋津さんも、お気を付けて。』 岬との通信を終えると俺と織田は潜伏しているであろうワームの探索を開始した。 早くしなければ成体へと羽化してしまう。 俺の焦りとは裏腹に降り続く雨は止む気配を見せなかった。
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