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雨の中を異形の姿をした男が二人、肩を並べて歩く。
生物の気配はまるでなく、まさに死の街と呼ぶに相応しいだろうな。
俺達は未だ現れないワームを探していた。
奴等が人間を餌とするならば必ず俺達の前に姿を現す。
俺と織田は神経を研ぎ澄ましていた。
すると何時の間にか俺達は野球場へとやって来ていた。
現実世界ならば休日には少年達が将来を夢見て汗を流すような小さな草野球場。
そこに居たのは少年等ではなく一人の男だった。
雨の中傘もささずに立ち尽くす男。
「……奴は人間なのか?それとも……」
俺の織田は暫く言葉を発さなかったが、静かに口を開いた。
「……あいつはZECTとの抗争で行方不明になっていた仲間だ……だが、それは1ヶ月も前の話だ。」
ゆっくりと織田は野球場へと足を運ぶ。
まるで何かと決別するかのように。
「ワームの恐ろしさは、超高速での移動なんかじゃない。本当に恐ろしいのは人間を補食し、補食した人間に擬態する事だ………」
「………ならば奴は………」
「ああ。既にあいつは人間なんかじゃない。お前も覚悟を決めるんだな。ワームとの戦いは、何時親い者が敵に回るか解らない戦いなんだよ……」
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