第1章〈生きるとは〉

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その後俺は織田から〈運命の輪〉のライダー最大の武器であるクロックアップについて、さらに詳しく聞いた。 確かに織田の言う事が本当ならばクロックアップ出来ない俺にも勝機はある。 一か八かになるのは変わらないがな。 織田からクロックアップについて聞いてから数日が経った。 不思議な事にワームの出現が途絶え俺達は暇を持て余していた。 恋人関係にある神代と岬は二人で出掛ける事が多くなった。 何も無い街とはいえ、ずっとトレーラーに籠りっぱなしでは息が詰まるのだろう。 そのお陰で他のチームの所在地も判明した。 だからと言って戦えるのはバトルフィールド内と限られている。 ワームが現れない以上、どのチームを静観を保っているのだろう。 織田は読書に明け暮れ、高鳥はオセロや将棋と言ったボードゲームを俺から習い覚えると風間相手に奮闘していた。 やり方がワンパターンな為に、いつも負けて文句を言うが直ぐ様違うゲームで同じ目に合う。 俺はと言うと少ない趣味でもある料理に打ち込んでいた。 特別凝った物ではなく、所謂家庭料理って奴だ。 それ以来料理担当となり起きる時間が区々の朝を除き昼と夜に飯を作った。 織田と風間は素直に旨いと言ってくれたし神代と岬も、やれフランス料理がいい、やれスペイン料理がいいと文句を言いながらも完食してくれる。 料理を作った人間として完食してくれるのは有り難いが、俺には一つ不可解な事があった。 いつも明るく振る舞いチームを盛り立ててくれる高鳥が飯の時間となると自室に籠るのだ。 俺が来る以前かららしいが、いざ意識すると気になって仕方がない。 プライベートな事だろうが俺は織田に話を聞いてみる事にした。
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