~第五章 カレジとホウプ~

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爽やかな初夏の日。カレジがキャズに来てから4ヶ月以上が過ぎていた。カレジは伸びてきた髪を、レンみたく一つに結ぶようになっていた。 仕事にも環境にもすっかり慣れた。 お店の評判も良く、馴染みの客も増えた。 カレジの手元には、旅立つには足りるお金が溜まってきていたが、なかなか旅立ちの日取りが決められず、ダンに話を切り出すことができないでいた。 ダンは、ずっと独り身だった。店を開いたのは、もう40年も前。従業員は度々雇っていたが、様々な理由で去っていった。 ダンは、過去に愛する人との別れがあった。彼女以外に愛することができなくて、一生独身と決めて生きてきた。 カレジを時には息子のように、時には孫のように可愛がってくれるダン。 またひとりぼっちになってしまう。 でも、レンに会いたい。 カレジの葛藤は毎日続いていた。 最近はジェーンも、会う度に切ない表情をすることがしょっちゅうだった。それがまた、旅立てない理由のひとつだった。
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