第1章 学校

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「はい!それまで!」 学校全体にチャイムの音が響き、それがテストの終了を意味していることは、言わなくても皆が分かっている。 しかし、解答用紙の回収ギリギリまでテストに向き合い、記入に勤しむ生徒もいる。 この男もその1人で、解答用紙を持っていかれることに最後まで抵抗し、回収の妨げをしていた。 それを見ていた先生に怒られ、結果として無事に回収されてしまった。 前期の中間テストも終わり、安堵している生徒や、お互いに解答の確認をする生徒、またさっさと帰宅の準備をする生徒が多い中、この男だけは机に顔を伏せている。 「おいおいソータ、そんなんなるならちゃんと勉強しとけよ笑」 その声に反応し、ソータと呼ばれる男は顔をあげた。 声をかけた男は、ソータの顔を見ると激しく笑い声をあげた。 その後ろにいた女子生徒は、必死に笑いを堪えている。 教室にいる生徒も気になって見てみるや、すぐに笑い出し、中には目に涙を溜めて笑っているものもいる。 ソータは涙と鼻水で、顔がグチャグチャになっていたのであった。
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