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「うっ…うっ…ひっぐ…。えうぅ…。」
「泣くな蒼華…お前のお母さんは泣かないだろ?」
「お父さん…楓も…。」
「二人共ズルいよ!!私も…。」
楓と紗夜花も、紗鬼に抱き着く。
…子供達を宥めている紗鬼。…そしてそれを遠くから見ている者に気付いた。
「…何の用だ…ヴェイン。」
「…王がお呼びだ。来てくれないか。」
「…ちっ。…さぁ行くぞ。」
「「「うん♪」」」
…紗鬼達が見えなくなってからヴェインが呟く。
「貴様の思い通りにはさせない。…国に対し牙を向いた時、非道な方法をしてでも私が貴様を殺す。」
ヴェインの目には確かな決意が現れていた。
………
「来てやったぞ。」
「おぉ。…その子達は…?」
王が紗鬼の周りに居る三人を見て言う。
「娘だ。」
「…先程まで居らんかったが…まぁ良い。…まず、この国を救って頂き感謝する。」
…王が深々と頭を下げる。…第1皇女とアリシアも頭を下げる。
「…なーに。暇潰しと食料の為にやったんだ。礼を言われるようなことはしてねぇよ。」
「…それでも礼を言わせてほしい。」
「お父さん何やったのー?」
楓は興味津々に聞く。
「あぁ。この国を襲ったゴミを片付けただけだから何でもないぞー?」
「へぇ~。お父さんすごーい♪」
楓は笑顔で紗鬼に言う。
「…そういえば此処はギルドとかの施設は無いのか?あればアリシアが強い奴を探しにいく必要が無かったろ?」
紗鬼が思い出したかのように言う。
「…この国は争いではなく話し合いで解決を第1にしているからそこまで強い人は居ないんだ。」
「…ふーん。だからこそゴミに狙われたって所だな。…んじゃあヴェインとかはどうなんの?」
「彼女達は隣国のハイラル国生まれで十分な戦闘経験があるからな。」
「…愛国心が無いと裏切られて国を乗っ取られるんじゃないのか?」
「それは無いさ。…ハイラル国は義を重んじ悪を許さずの精神でどの国からもスカウトされるほどの人達だからね。」
「…戦争に駆り出されると?」
「それも無いさ。何処かの国が戦争にハイラル国の人を使おうとすれば人知れず姿を隠すらしいからね。」
「…成る程。他国からの戦争の抑止力になり、相手は少ない戦力で挑まなくてはいけない…と。」
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