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紫陽花は色褪せた。 カタツムリは殻だけ残して干乾びた。 僕はひっそりと石と石の隙間で 雨が降るのをじっと待っている。 雨降らしの少女が現れるのを 僕はじっと待っている。 そうだこの石の下に眠る男は 迷惑なくらいの晴れ男だったことを僕は知っているのに 何故か選んだのはこの石で そこから動くことは出来ない。 逃げることは、出来ない。 雨降らしの少女よ 早くここへ来て 雨を降らせて。 くたばりかけた僕の元へ ひとつぶ ふたつぶ 雨が落ちてきた。 雨降らしの少女は傘をさしていた。 黄色い百合を片手に抱いて 反対の手に傘をさしていた。 石をずらして ひとつひとつ丁寧に磨いて 花を生ける少女よ どうか傘を捨てて 僕と一緒に濡れてください。 「まだそこにいたのね」 少女は傘を差し出した。 雨に濡れていなければ死んでしまう僕に 彼女は傘を差し出した。
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