19人が本棚に入れています
本棚に追加
四角く切り取られたシアンの
左上には真っ白な紙飛行機
右肩下がりのソイツはまるで僕だ
ゆらゆらと風に漂いながら
少しずつ少しずつ
重力に逆らわずに
下界に向けて落下を続けているに違いない
忌々しくなって
コルクボードに留めるピンを抜いた
はらりと落ちたソレを
君は拾い上げてこう言った
――素敵な写真ね――
僕は耳を疑い
差し出された空を受け取る
四角く切り取られたシアンの
右下には真っ白な紙飛行機
今まさに飛び立とうと
力強く天を見上げている
広すぎる空を四角く切り取ったから
僕はその箱の中で天地を見失っていた
君は簡単にそれをひっくり返して
落ちていく途中だった僕は
これから飛ぶところに変わった
そうか僕は
まだ飛んですらいなかったんだ
そんな簡単で重要なことを
気付かせてくれる君と
――一緒に飛んで行けたら
どんなに良いだろう――
最初のコメントを投稿しよう!