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四角く切り取られたシアンの 左上には真っ白な紙飛行機 右肩下がりのソイツはまるで僕だ ゆらゆらと風に漂いながら 少しずつ少しずつ 重力に逆らわずに 下界に向けて落下を続けているに違いない 忌々しくなって コルクボードに留めるピンを抜いた はらりと落ちたソレを 君は拾い上げてこう言った ――素敵な写真ね―― 僕は耳を疑い 差し出された空を受け取る 四角く切り取られたシアンの 右下には真っ白な紙飛行機 今まさに飛び立とうと 力強く天を見上げている 広すぎる空を四角く切り取ったから 僕はその箱の中で天地を見失っていた 君は簡単にそれをひっくり返して 落ちていく途中だった僕は これから飛ぶところに変わった そうか僕は まだ飛んですらいなかったんだ そんな簡単で重要なことを 気付かせてくれる君と ――一緒に飛んで行けたら    どんなに良いだろう――
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