プロローグ

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  ……かさついた、指。 淡いオレンジ色の灯りだけが頼りの世界で、私はそれに触れていた。 慣れないリネンが敷かれたベッド、そこで横たわる私。 左耳を下にして寝るのは、昔からのクセだ。 私の首の下から伸びる腕、その先にある、大きな手。 骨っぽくて、短く揃えられた爪と、筋っぽい指先が特徴。 私よりも日に焼けた色をしていて、皮膚も少し、硬い気がする。 この指をまじまじと見つめるのは、これが二回目。 こんなに近くで見つめるのは、これが初めて。 確かめるように、なぞる。 この手がここにあることが、現実だと確かめたくて。 .
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