プロローグ

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  「……何、してるんだ?」 その声と共に、冷えつつあった背中にじわりと熱が集まり始めた。 彼が、私を抱き込んだ証。 肩に、チクチク刺さるような小さな刺激がある。 これは無精髭だろうか。彼らしくて少し微笑んでしまう。 「……手を、見てました」 「手?」 「はい」 この手が欲しかった。 ずっと、欲しかった。 だから私は、現実だと確かめたくてそれに唇を寄せた。 .
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