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「できる限りのことはしますけどね」
そう言って笑った並河先生の目尻に、シワが寄る。
あの頃にはあったかな、なんて、ついそう思ってしまった自分を恥じた。
「廣田さん、申し訳ないんですが別件があって、僕はここで」
「あっ、はい。ありがとうございました」
「よろしければこの後並河先生とも打ち合わせなさってください。ここでも結構ですし、先生の研究室をご覧になるのもいいですよね。参考になるかもしれませんし」
ふいに思わぬ提案を振られて、言葉がうまく出なかった。
一瞬遅れて、私は緊張を飲み込むように、山口さんに微笑み返した。
「そうですね、ありがとうございます。引き続き、よろしくお願いいたします」
「こちらこそ。ではお先に失礼します」
私に会釈を返し、「並河先生、後はよろしくお願いしますね」と言い残して彼は去っていった。
並河先生と二人、残されて。
思いがけない展開に、黙り込むくらいしかできない。
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