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仕事中なのに。私はヒアリングに来ているのに。
きっかけもとっかかりも、いつもそこにあるはずの言葉が何もかも、頭の中から消えてしまったみたいだ。
ふっ、と。
淡く笑った並河先生が、私に向き直った。
「……さ、どうしようか」
「え……?」
「研究室、案内しようか?」
このまま向き合って黙っていたって仕方ない。
そう感じての提案だったのかもしれない。
私は軽く頷いて、「お願いします」と言った。
正面から彼と対峙したままじゃ、私は学生時代のあの頃に、戻ってしまったままになると思ったからだった。
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