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「座って。って言ってもパイプ椅子しかないけど」
苦笑した先生に促されるまま、私は座った。
こうしていると、まるであの頃に戻ったみたいだ。
研究室なんてまだ持っていない先生に、会いたい一心で。
教授の研究室にいるのを見計らって、何度も質問に訪れた思い出。
必死に隠していたつもりでも、今思えばバレバレだっただろうな。
恥ずかしさも同時に思い出してしまい、私は視線を落とした。
「最近はこういうのがあるから助かってる」
並河先生は慣れた様子で紙コップにウォーターサーバーから水を汲み、差し出した。
「ありがとうございます」とお礼を言って、受け取る。
水の冷たさが、私の感傷を打ち消すように、現実へと引き戻してくれた。
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