《3》

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  大学の構内を出て、駅に着いた頃。 やっとひと心地ついた気がして、ふうっと息を吐いた。 自分の浅はかさに、嫌気がさす。 並河先生の一挙一動に、いちいち反応してしまうこと。 大学時代なんて過去のことを重ねてしまうこと。 何より、並河先生の骨っぽい手を盗み見たこと。 その左側の薬指に……ごく自然に収まる銀色の指輪を、見つけてしまったことに、だ。 .
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