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通された席は個室だった。
静かな店内、落ち着いた調度品。
なんだか、無駄に緊張してしまう。
「とりあえずビール二つ」とさっさと注文を済ませた清野さんは、いつもと何も変わらない様子だけれど。
手書きのおすすめメニューを眺めると、それはそれは魅力的な料理が並んでいた。
しかし、値段を見て尻込みする。
高い。
予想はしていたけれど、いつもの居酒屋の倍以上の価格帯だ。
「何食う」
「……梅クラゲ、とか」
「渋っ」
出来る限りお財布に優しいものを、と選んだのだけれど。
しかめっ面の清野さんは、私からメニューを奪って言った。
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