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「んじゃ乾杯するか」
「……はい」
「拗ねてんなよ」
くっ、と笑った清野さんが、グラスをこちらに突き出した。
「おら、乾杯。誕生日おめでとう」
「ありがとう、ございます」
渋々ながらも祝いの言葉を受け取って、ビールに口を付ける。
薄いグラスだからか、口当たりが柔らかい。
ふわふわの泡が揺れて、その奥の炭酸と共に喉に流れ込んでくる。
「……おいしい」
思わず漏れた感想に、清野さんも頷いた。
丁寧に注がれたビールは、やっぱり違う。
思わずこぼれた笑みに、清野さんは言った。
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