《4》

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  いつもより早いタイミングで清野さんは日本酒に切り替えた。 私はまだ二杯目のビールをゆっくりと味わっている。 「おら、これも食え。うまいぞ」 「はい」 「お前ちゃんと食ってんのか。細っこい腕しやがって」 酔いが回ってきたのか、清野さんはリラックスした様子で笑っていた。 こんなにほぐれた雰囲気の彼を見るのは珍しい。 「いただいてますよ。細くもないですし」 「十分細いっつうの。女はちょっと肉ついてるくらいのがちょうどいいんだよ」 何に、ですか。 と、たずねるのはやめておいた。なんとなく。 心配されるほど細いというわけでもないのにな。 私は不満に思いながらも自らを省みる。 .
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