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「……まだ、仕事が残ってるので……」
微かに震えた声で絞り出した答えは、それだった。
私は今どんな顔をしているだろう。
ちゃんと、笑えているんだろうか。
本当は、一も二もなく頷いて『行きます!』と言いたい衝動にかられていた。
それでも頭の中にこびりついたように『駄目だろ、当たり前だ』という言葉が離れなかった。
指輪がなくなったから?
だからいい、問題ない、……なんて、ありえない。
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