夢の果てに

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 そんなものだろうと予想がついていたためか、変わらず穏やかな面持ちの柾木は裁判官、陪審員に頭を下げた。  いかにも日本人らしい、と傍聴席の声が耳に届く。  被告人よりはむしろ顔を歪ませて裁判官を睨み付ける弁護士ジャック・サマーのほうが、余程悔しそうにしている。 『これにて、閉廷』  退廷間際、瞳を閉じてふっと静かに息を吐いた柾木の様子を、傍聴席から鋭い眼で見つめる男がいた。 『控訴するぞ』  車に乗り込んでドアを手荒く閉めるが早いか声を震わすジャックに『いい』と首を横に振って答えた柾木。 『何故だ!?』  赤ら顔がますます紅潮した。 『この件は世間から理解と同情を集めてる! 次なら勝』 『いいんだ、ジャック――無様なだけだ』  初夏の町並みを窓ガラス越しに眺める柾木の唇が、ぽつりと言葉を紡ぐ。 『……これは、おれが受けるべき報いなんだから』
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