家族②

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「……宮下さんの気持ちには、応えられない。ごめんな」 「ううん!返事、くれてありがとう。これで諦めもつくし、ほんと、大丈夫だから気にしないでね!」  パッと上げた彼女の顔は、 笑っているのに今にも涙が零れそうなほどに瞳が濡れていた。  少し悪いと思う気持ちも芽生えたが、 ここで俺が慰めるわけにはいかない。  中途半端な優しさは、 相手の覚悟を鈍らせてしまうから。 (――あぁ。俺って李煌さんにも中途半端だったんだな…。あの人は何とも思っていなくても、俺の態度は兄弟としても混乱を招く結果にしかならないわけか)  あの日の兄貴の言葉が鮮明に蘇って、 僅かに眉を寄せた。 「じゃあ私、行くね?部活頑張って!応援してるから!」  明るくて元気な声に目を丸くする。 (…はは。女ってすげぇな)  遠ざかって行く彼女の後ろ姿を見送りながら、 自分の情けなさに自嘲を滲ませた。
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