42人が本棚に入れています
本棚に追加
「好きな人がいるから、」
「え、いるの!?」
唐木の大きな声に、
俺は慌ててその口を手で塞いだ。
「煩いっ……最後まで聞けよ。そう言っとけば諦めてくれると思ったからだ」
というのはタダの言い訳だが、
唐木にはこう言うしかないだろう。
「本当に?」
「疑り深い奴だな。信じないならそれでもいいけど」
丁度小さな公園に差し掛かり、
空になったジュースの缶を捨てようとそっちに足を向けた。
――カンッ、カラン…。
ゴミ箱を見つけて放り込む。
あとからついて来た唐木も同じように空き缶を放った。
「――じゃあさぁ」
「ん……?」
「立候補しちゃおっかな」
「……」
(――…え?)
最初のコメントを投稿しよう!