家族②

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「好きな人がいるから、」 「え、いるの!?」  唐木の大きな声に、 俺は慌ててその口を手で塞いだ。 「煩いっ……最後まで聞けよ。そう言っとけば諦めてくれると思ったからだ」  というのはタダの言い訳だが、 唐木にはこう言うしかないだろう。 「本当に?」 「疑り深い奴だな。信じないならそれでもいいけど」  丁度小さな公園に差し掛かり、 空になったジュースの缶を捨てようとそっちに足を向けた。  ――カンッ、カラン…。  ゴミ箱を見つけて放り込む。  あとからついて来た唐木も同じように空き缶を放った。 「――じゃあさぁ」 「ん……?」 「立候補しちゃおっかな」 「……」 (――…え?)
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