家族②

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 兄貴のことをいろいろ語る気はないが、 唐木に言った通り、頭脳明晰であることは事実だ。  俺はあまり興味がないから知らないが、 どこかの外国にある大学から声がかかる程……らしい。  そんな人間がどうして日本の大学に通っているのか、 それは本人にしか分からない。  李煌さんなら知っているかもしれないが、 訊くほど興味が湧かない。 「あ、相見は数学から?じゃあ僕もそれからやろうかな」  向かいに腰を落ち着けた唐木が、 俺の参考書を見るなりそう決めたようだ。 「うーん……この場合、公式ってどれ使うんだろ…」
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