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どういう力関係なのだろう。
二人の目が泳いでいる。
待つのも暇なので、索敵を始める。
「我が安息の地を侵すは大罪なり、我が目に愚かなる者を映し出せ、シースハント」
自分を中心に、半径500mの魔物の存在を炙り出す。
「ここから北西に十数体の反応がある。行くか?」
「行くよ。そりゃ…」
「じゃあ、先頭を任せる」
「おう」
元気よく先頭を歩き出したシバ。エナから逃げ出し、その横に並ぶリアナ。
「エナ。ほら、任務始まるから…」
「もう、じゃあ帰ってからね」
マリカの顔が老けて見える。
何がそんなにエナが怖いのだろう。理解出来ない龍介は、エナを見つめた。
「エナ。二人の弱味でも握ったの?」
「…うん。恥ずかしい寝言」
なるほど、納得だ。
マリカの肩が、ビクッと跳ねた。
「男は聞かない方がいいな…」
「…うん。その点、リュースケ君はパーフェクトだよ」
「…とりあえず、ありがとう」
「こちらこそ…」
まったくもって、話しがちんぷんかんぷんだ。
話しもそこそこに、先頭のシバが立ち止まり、手を水平に上げる。
止まれの合図に、足を止めると、そこは広さのある森の中だった。
「ここで罠を頼む…」
「…いいだろう。今回は凍結させて足止めしよう」
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