第二章

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最近は、最上級でさっさと装填してしまうので、攻撃に転ずるのが早い。 特別苦労の無いまま、8体の討伐を終え、トロルの残りを探す。 索敵魔法では叶わず、千里眼の魔法を使うまで距離は離れていた。 トロルが人相手に逃げるとは珍しい話しである。 捕食者として、人に害を成してきた化け物は、人に恐怖を抱く事も警戒する事も無い。 筈だ。 挑発に気付かず、目的地を目指していると考える方が妥当だ。 強化魔法で、瞬発力を上げた8人は、残るトロルへと近付いた。 「……なぁ。この先って…」 「あぁ、村がある…」 地図に記された小さな山村。従来、巨人の被害に合って来たのは、山や森に近い場所に住む人々だ。 「場所を知ってりゃ、転移出来るんだが……急ぐぞ!」 それほど、山村まで距離は無い。自分達が直ぐに着けるという事は相手も同じだ。 さっきのトロル8体が囮だとは思わないが、謀られた気分だ。 「村が見えた」 「行くぞ!」 意気込む仲間達を頼もしく思い。 白狼を装填する。 右手には聖剣。 「シバ。悪いが、待ってやらんぞ…」 単騎突入する龍介の速さに、シバは追い付けない。 「…くそっ。非常事態かよ」 ……………森を抜けると、そこは崖だった。
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