第二章

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「エレサ。首を狙え!」 振り下ろされた棍棒を三枚の盾で止め、二枚を回転させると、トロルの首を後ろから跳ね飛ばす。 「おっし、お疲れ…」 「………うわ~。ベトベト…」 「ローブ着てて正解だったな。…エナ。怪我は無いか?」 なんだか青い顔をしている。 「トロルのお腹の中見ちゃった……」 「それは、気持ち悪そうだね」 「エナちゃん。ごめん…」 「ううん。…それにしても、大活躍だね」 エレサを褒めるエナに、エレサはううんと首を振る。 勝利を褒め称えるのは、まだ早い。 村人達の方を向き、犠牲者がいないか確認する。 「怪我人は?」 「ここにいる人は大丈夫…」 「…って事は……」 どうなんだろう。 「皆さん。家族や友人はちゃんといますか?」 直ぐに村人の確認が始められた。村長だろう老人が、家長から報告を受けている。 「……倒壊したダムザの家は四人共…」 「…そうですか。力及ばず、すみません」 「……いえ、助けていただき、言葉もありません」 そういう世界なんだろう。 最小限に被害を抑えてくれた事に感謝出来る。 前世じゃ、事前に対処しなければ責任を問われる。 厳しい世界だ。 どちらもだ。 「せめてもの償いです。倒壊した家から家族を出しましょう」
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