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「エレサ。首を狙え!」
振り下ろされた棍棒を三枚の盾で止め、二枚を回転させると、トロルの首を後ろから跳ね飛ばす。
「おっし、お疲れ…」
「………うわ~。ベトベト…」
「ローブ着てて正解だったな。…エナ。怪我は無いか?」
なんだか青い顔をしている。
「トロルのお腹の中見ちゃった……」
「それは、気持ち悪そうだね」
「エナちゃん。ごめん…」
「ううん。…それにしても、大活躍だね」
エレサを褒めるエナに、エレサはううんと首を振る。
勝利を褒め称えるのは、まだ早い。
村人達の方を向き、犠牲者がいないか確認する。
「怪我人は?」
「ここにいる人は大丈夫…」
「…って事は……」
どうなんだろう。
「皆さん。家族や友人はちゃんといますか?」
直ぐに村人の確認が始められた。村長だろう老人が、家長から報告を受けている。
「……倒壊したダムザの家は四人共…」
「…そうですか。力及ばず、すみません」
「……いえ、助けていただき、言葉もありません」
そういう世界なんだろう。
最小限に被害を抑えてくれた事に感謝出来る。
前世じゃ、事前に対処しなければ責任を問われる。
厳しい世界だ。
どちらもだ。
「せめてもの償いです。倒壊した家から家族を出しましょう」
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