第二章

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……………棍棒で叩き壊された家は、中へと崩れ、侵入する事も難しい。 だが戦神の白鎧を装備していれば問題は無い。 「崩れて来た時は、建物を吹き飛ばすので、近づかないで下さい」 そう忠告して来たので、倒壊した家の壁に聖剣で侵入口を切り開く。 侵入し、早速二人を確認。 大きな梁に潰され、息が無い。 強化魔法で筋力を上げ、梁を持ち上げて、二人を引きずり出す。 侵入口の前で待つ、シバとゲイルに渡し、倒壊に巻き込まれない位置まで運んでもらう。 中心は棍棒が突き抜け、空が見える。そんな下に、人の血が拡がっている。 「運悪く、棍棒が当たったか…」 腰から潰れた若い女の死体。 聖剣で、天井をコの字に切り抜き、女の死体を抱きかかえる。 そこで気付いた。 女の死体に向かって伸びる手。幼い子供のモノだろう手を握り、上の木材を持ち上げる。 ゆっくり、隙間から助け出すと、男の子には息があった。 もう崩れても問題無いので、天井を切り、突き破って外に着地する。 「エナ。治癒魔法を!生存者だ」 駆け足で駆け寄る彼女が、詠唱を始める。 「………生命の鳥。愛の化身。消えゆく灯火に、再生の炎を…解かれし実を結び、心を救いたまえ…哀しみ癒す、大いなる加護、ヒーリング…」
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