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薄紅色の暖かな光が、少年を包む。ゆっくりと傷を塞ぎ、その血色を戻していく。
「ふぅ~…あとは、体力が回復するまで、寝かせておいて下さい」
「ありがとうございます」
「村長。村でこの子を養えますか?」
涙ながらに、少年の手を握る村長に、現実を突き付ける。
エナが驚いた顔を向けるが、村長は当然の答えを返した。
「…それは、相談してみない事には何とも…」
「私達も孤児です。もし、孤児院に入れられるなら、大きな町の子供の多い孤児院に入れてあげて下さい」
エナが手を握ってくる。
「では、私達はこれで…」
「帰るのか?」
「…他にどうする?」
「だな…転移」
……………転移石に運ばれ、国王軍の受付に戻って来た。
いつの間にか、みんな泣いている。
「どうしたんだ!?」
泣きながら帰って来たシバ班の異様さに、ジャックさんが驚いている。
「いえ、ちょっと任務で………」
目標が村を襲い出した事と、倒壊した家屋から、家族を救出した事を説明し、自身の過去を思い出し、泣いている旨を打ち明けた。
「………目を覚ましたあの子は、泣くんだろうなって…けっこう、キツいですね。兵士って……」
「……君達の行動は人として素晴らしい。……けど、兵士を続けるなら、目を背けないと耐えられないよ」
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