第二章

86/222
前へ
/1093ページ
次へ
「それも、仕方あるまい。学生の間は焦る必要もない。気長に続けよ」 対応が違うよ。 ライラックには、優しいですね。 龍介のムッとした顔を、国王が面白そうに鼻で笑った。 「勿体無いお言葉、ありがとうございます…」 ライラックが、龍介を見つめ、状況を知らせようと必死だ。 国王を睨んでいる。 「リュースケ。今、睨んでいるのは私か?」 「へっ……すいません…」 「……ライラックに優しくして、妬いたか?」 「……妬くって…そんな訳ないでしょ…」 「悪いが、私にその気はない」 「話しを、聞いて下さい……」 「なんだ。ここで告白されても困るんだが…」 「もう~………」 「ハッハッハ…今日は楽しめた。では、また来なさい」 嫌…… 一体、何が面白いのかわからないまま、龍介は思った。 きっと、疲れてるんだ…… そう思う事で、よく分からない会話の意味を受け止めた。 ………………謁見の間から、研究室へと来た二人は、中の異様な雰囲気に絶句した。 何日寝てないのか心配になる様な酷いクマの研究者達が、それぞれ作業を続けている。 「マジか……」 「俺、研究所で研究する」 「う、うん……」 中に入る勇気はないが、すでにドアを開け、注目を浴びてしまっている。
/1093ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9581人が本棚に入れています
本棚に追加