第二章

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「…んっ…元紋は?」 「げんもん?」 「元紋だよ。なくていいの?」 それはなんだ? 「なんですか。げんもんって?」 困っていると、ライラックが制服の裏地を見せて、縫い付けられた四角い布を見せる。 そこには、綿花の絵が描かれており、どこの工場で、もしくは誰が作ったか分かる様になっている。 「あぁ~…」 ロゴマークね。 「じゃあ、こんな感じで」 紙に、北を向く龍の絵を書く。 「ノース・ドラゴン…ね。はい」 「お願いします」 「幾らでやってくれる職人を探してるんだ?」 そもそも、相場が分かりません。 困った龍介は、恥を忍んで聞く事にする。これからの為にも、知っておくべきだと思ったからだ。 「すいません。相場は、どの程度なんです?」 「……そうだね……。基準になる物がハッキリしないって前提で聞いてくれよ。…」 らしい。 「鎧一式、金貨三枚で作れる。つっても、職人の懐具合によっては、安くもなるし、高くもなる」 「どうしてです?」 「そりゃあ、明日食うおまんまがなきゃ、安くても受けるし、自分の腕を安売りしない頑固親父は、値段も高いが、作る物の質も高い」 「………難しいですね…」
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