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「…んっ…元紋は?」
「げんもん?」
「元紋だよ。なくていいの?」
それはなんだ?
「なんですか。げんもんって?」
困っていると、ライラックが制服の裏地を見せて、縫い付けられた四角い布を見せる。
そこには、綿花の絵が描かれており、どこの工場で、もしくは誰が作ったか分かる様になっている。
「あぁ~…」
ロゴマークね。
「じゃあ、こんな感じで」
紙に、北を向く龍の絵を書く。
「ノース・ドラゴン…ね。はい」
「お願いします」
「幾らでやってくれる職人を探してるんだ?」
そもそも、相場が分かりません。
困った龍介は、恥を忍んで聞く事にする。これからの為にも、知っておくべきだと思ったからだ。
「すいません。相場は、どの程度なんです?」
「……そうだね……。基準になる物がハッキリしないって前提で聞いてくれよ。…」
らしい。
「鎧一式、金貨三枚で作れる。つっても、職人の懐具合によっては、安くもなるし、高くもなる」
「どうしてです?」
「そりゃあ、明日食うおまんまがなきゃ、安くても受けるし、自分の腕を安売りしない頑固親父は、値段も高いが、作る物の質も高い」
「………難しいですね…」
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