第二章

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「……初心者なら、安い所は止めときな…。嫌な勉強する事になるぞ」 安い値段よりも、価値の低い悪質な製品が返ってくると…… 「オススメって、聞いていいですか?」 「……そんな不公平な事出来ると思うか?」 「じゃあ……今、手が空いてる方は?」 「……グラムの旦那は空いてるんじゃねーか…」 つまり、オススメだ。 「っで、学生さんが何を作るんだ?」 「いろいろですよ」 「…いろいろ、ね。まぁ、交渉はどうする?」 交渉までするのか。面倒臭い。 「行きます…」 「こっから、学園に向かって広場を左だ…」 知ってた。 ルミオール鉱石を精錬して貰った鍛冶屋だった。 ……………町の中心部で鍛冶屋を営んでいる人は少ない。 当然、火を使う仕事だからだが、グラム氏は顔は怖いが、人当たりは良い。 職人気質で、人情に厚い。 そんな男なので、学生だった龍介がルミオール鉱石を精錬して貰った後、代金を払う前に『兄ちゃん。こづかい大丈夫か?』なんて聞いてくる心優しい人だった。 それから、ずっと鍛冶屋はグラムである。 「おじさん。こんにちは~」 「おう。兄ちゃん。今日はなんで~?」 「また、仕事を頼みたいんだ」 「贔屓にして貰って悪いね~」
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