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「これを作ってほしいんだ…」
設計図という名の、紙を渡す。
魔熱器のだ。
「ほぅほぅ…魔玉で…クランの合金に、石の台か…考えたな…」
興味深く、図面を確認した後、笑顔を見せる。
「よし、分かった。これを、幾つ作るんだ?」
「…1000ほど…」
「なっ…兄ちゃん。俺に死ねってか?」
「まさか。おじさんの人望があれば、大丈夫かなと…」
「そうは言っても、職人同士は敵みたいなもんだぞ」
「そんな事言っても、おじさんがみんなから好かれてるのはバレバレですよ…酒場の中心にはおじさんがいる…弟子が集まって、困ってるでしょ…」
「おいおい。人を人気者みたいに言うなや…」
頭を掻いて、照れる親父にときめかないぞ~………
龍介は、調子良く続ける。
「そんな謙遜しないで、おじさんが声を掛けてくれれば、どんな偏屈な爺さんでも手伝ってくれるよ」
「…そうかー。…っとに、仕方ねーな。一肌脱いでやるよ」
鍛冶屋は決まった。
これからも、長くお世話になろう。
材料費を預けて、町の掲示板に貼り紙を貼らせて貰い、学園の食堂に戻った。
「エナ。ただいま…」
「おかえりなさい」
「何してたの?」
「宿題…」
「終わった?」
「うん。リュースケ君は終わった?」
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