第二章

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「エナ。良い?」 「うん。新鮮なお魚なんて始めてかも…」 去年来たのにね。 そう思ったが、アルバイトしている手前、他の店に食べに行きづらかったし、それよりも、稼いだ金を買い食いなどで使うかと、財布の紐が堅かった時期であった。 「一人、銅貨一枚だ…」 飲食の値段としては、かなり高い。一回の食事は銅板三枚が相場だ。高くても銅板五枚が限度の中、普通の店の三倍近い値段に、ゾッとする。 他に移動するのもいやらしい。諦め財布の紐を解いた。 「はい。二枚…」 「ありがとう…」 「こっちも、二人で…」 「ありがと…」 金を受け取った店主が、トングを乗せたザルを渡してくる。 「このザルに、好きな物乗っけて、机の網で焼いてくれ」 バイキング方式の様だ。 確かに、食べ放題なら値段と釣り合うのかもしれない。 「……これ、うまそうだ」 「これも…」 ……………食事の後は、太陽が最高天から傾くまで日陰で談笑し、海に入った。 すっかり泳ぎをモノにした彼女の姿に魅了されながら、人魚姫を思い浮かべる。 人魚に変化出来る魔法なんて無いだろうか。 そんな夢物語に、心踊ろせながら、海から上がった。 一度、水着を干しに、自宅に戻った。
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