魔王視点のギャグ風

2/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「ぁ、あー……あ、声出た」 いくらか独り言を喋って、声帯の回復を確認した。 「手は…動かないか」 腕に力を込めてみたが、指先一つ動きもせず、せいぜい首が動かせる程度だった。 思わず溜め息が漏れる。 「魔力だって無限じゃないんだけど…」 声を形にするように、呪文を口にした。 「гранат(グラナート)」 呪文は、赤い光を放つ字の形を持って宙に舞い、オレの手足に巻き付く。 赤みが薄れる頃には、オレの身体は十分過ぎるほどに動くようになった。 「ほんと、最悪」 軽く屈伸をして、肩をゴキッと鳴らす。ちょっと痛かった。 「ニー」 「はいっ!」 一言、名前を呼べば俺の目の前に現れる少女。本名はニーナだけど、いつも呼び終える前に現れる。 オレを見るニーナの目が、徐々に見開かれていき、最終的には「何したんですか!?」と叫ばれた。 「何って…」 「何をどうしたら、床一面を血の池に出来るんですかぁっ!?」 「普通に、死にかけてた」 辺りを改めて見れば、それはもう見事な血の海で、そりゃ出血多量で死にかけるなあ、などと思う。 「魔王様ともあろう御方が、何普通に死にかけてるんですか!」 あぁ。オレ、魔王だったね。 だからさっき、回復魔法使えたんだっけ。 「だって、相手は封印の剣を持った勇者だったんだよ」 なんか、封印せずに帰っちゃったぽいけど。 「だからそういう時は、私を喚んでくださいって!」 怒られた(´・ω・`)。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!