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……ピト
「ひゃぁっ…」
手が少し冷たかったので、イクトの背に触れると
驚いたイクトは、高い声を上げました。
『ふふっ…。仕返しです。』
「龍月ひどぃ…」
と
言いつつ笑っているイクト。
私も笑っていました。
お湯を流して、イクトの身体を濡らし
石鹸を手に取り、泡立ててイクトの身体を洗い始めました。
「んっ…」
『?どうかしましたか?』
突然ビクッと身体を跳ねらせたので
どこか痛むのかと思い尋ねると…何の返答もありません。
『手首、痛くありませんか?』
「大丈夫…」
痛々しい手首ですが、痛くないのでしょうか?
「んんっ…龍月っ、ちょっと…待って…」
『え?』
背中を洗っているとストップが入りました。
「く、くすぐったい…首。」
『それは…失礼しました。』
首、弱いんですね。
………
「ひゃっ…りゅ…龍月??」
弱いとわかっていながら、イクトの首を指でなぞりました。
案の定、ビクビクと身体を跳ねらせ
赤面して私を見てきました。
『何ですか?』
「何ですか…じゃなくて…」
『ほら、ちゃんと前を向かなきゃ、洗えませんよ?』
小首を傾げると渋々背を向け、座るイクト。
……何故ですかね。
もっと…見たいと思ってしまいます。
流石に怒られそうなので、ちゃんと、気を付けながら洗う事にしました。
「龍月…意地悪しないでよ…」
『していませんよ。』
「…次は俺が龍月を洗うからね?」
『え?それは遠慮させて頂けますか?』
「やだ。絶対洗う。」
『冷えますよ?』
「温かいから平気。」
……とても嫌な予感がします。
背中を見ているだけですが…イクトの悪戯っ子の様な笑顔が見えた気がしました。
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