69人が本棚に入れています
本棚に追加
-イクト-
エレベーターの止まる音が…聴こえた気がした。
コツコツ…コツコツ…
規則正しい足音が聴こえる。
彼奴が帰ってきた?
俺の身体が硬直していくのがわかる。
怖い…嫌だ…
「嫌だ…嫌だっ…」
逃げようとしても手錠が外れない…
普段ならこんなの、すぐ壊せるのにっ…なんで!
なんで外れないんだよ…嫌だっ…逃げなきゃ…
やだやだやだやだやだやだ…やだ
ピンポーン
え?
思わず拍子抜けした…
嘘のように身体の震えが収まる。
なんで、インターホンの音?
自宅に帰る時…鳴らさないよな?
え…じゃあ、誰だ?
コンコン
今度はノック音。
『イクト?居ますか?
私です。
龍月です。』
え?
うそ…龍月?
俺、夢見てるの?
『イクト?』
呼びかける…龍月の声…夢、じゃない…
「龍月っ!!」
俺は叫んだ。
最初のコメントを投稿しよう!