私は貴方に溺れています。

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-イクト- エレベーターの止まる音が…聴こえた気がした。 コツコツ…コツコツ… 規則正しい足音が聴こえる。 彼奴が帰ってきた? 俺の身体が硬直していくのがわかる。 怖い…嫌だ… 「嫌だ…嫌だっ…」 逃げようとしても手錠が外れない… 普段ならこんなの、すぐ壊せるのにっ…なんで! なんで外れないんだよ…嫌だっ…逃げなきゃ… やだやだやだやだやだやだ…やだ ピンポーン え? 思わず拍子抜けした… 嘘のように身体の震えが収まる。 なんで、インターホンの音? 自宅に帰る時…鳴らさないよな? え…じゃあ、誰だ? コンコン 今度はノック音。 『イクト?居ますか? 私です。 龍月です。』 え? うそ…龍月? 俺、夢見てるの? 『イクト?』 呼びかける…龍月の声…夢、じゃない… 「龍月っ!!」 俺は叫んだ。
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