私は貴方に溺れています。

8/9
前へ
/393ページ
次へ
『いいえ。 もう、怒っていませんよ。 貴方を見て安心したのか、怒りの感情は消え失せました。』 私は上手く笑えていますか? 貴方を傷付けた御船を殺したくて堪りません。 こんなに殺意を抱いたのは… これ程誰かを殺したいと思った事も憎んだのも初めてです。 「ごめん、なさい。」 ん? 涙声を含んだイクトの声は何故か 私の心に刺激を与えました…。 『何故、謝るんですか?』 「俺…龍月に嫌な思いさせちゃった…彼奴らから…俺の事、聞いた…でしょ?… 俺の事…嫌いになった、よね… ごめんて」 成程。 彼は感受性がとても豊かなんですね。 だから、良からぬ方へ勘違いしてしまうのでしょう。 『そんな事を言った、貴方を叱りましょか? 嫌いになったのなら、此処にはいません。 嫌いだったら 奪おうとも思いません。 嫌いだったら…貴方に溺れてなんかいません。。』 「え?」 『先程も言いましたよ。 貴方が… イクトの事が好きです。』 ニコリと笑ってみせると イクトは、一瞬目を見開くと 歯を見せて満面の笑みを見せました。 「俺も…好き。 龍月の事…大好き…」 頬を赤らめて照れたように言う彼は とても可憐で、無邪気でした。
/393ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加