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『いいえ。
もう、怒っていませんよ。
貴方を見て安心したのか、怒りの感情は消え失せました。』
私は上手く笑えていますか?
貴方を傷付けた御船を殺したくて堪りません。
こんなに殺意を抱いたのは…
これ程誰かを殺したいと思った事も憎んだのも初めてです。
「ごめん、なさい。」
ん?
涙声を含んだイクトの声は何故か
私の心に刺激を与えました…。
『何故、謝るんですか?』
「俺…龍月に嫌な思いさせちゃった…彼奴らから…俺の事、聞いた…でしょ?…
俺の事…嫌いになった、よね…
ごめんて」
成程。
彼は感受性がとても豊かなんですね。
だから、良からぬ方へ勘違いしてしまうのでしょう。
『そんな事を言った、貴方を叱りましょか?
嫌いになったのなら、此処にはいません。
嫌いだったら
奪おうとも思いません。
嫌いだったら…貴方に溺れてなんかいません。。』
「え?」
『先程も言いましたよ。
貴方が…
イクトの事が好きです。』
ニコリと笑ってみせると
イクトは、一瞬目を見開くと
歯を見せて満面の笑みを見せました。
「俺も…好き。
龍月の事…大好き…」
頬を赤らめて照れたように言う彼は
とても可憐で、無邪気でした。
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