私は貴方に溺れています。

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「それは良かったねぇ。 イクト。」 声が聴こえ、横目で廊下を見る龍月。 そこには腕を組んで壁にもたれかかる御船の姿があった。 「トウマ…」 イクトの瞳に御船の姿が映ると 喜びの表情が覆り、恐怖の二文字に染められた。 ガチャガチャと 震えだし、金属音が響き出した。 イクトの様子に気付いた龍月は 御船を睨みつける。 小刻みに震えるイクトは、龍月の腕に 絡み付く様に抱きついた。 龍月は、優しくイクトの背中を摩る。 「ドアを破壊して、家宅侵入罪もいいとこですよ?神谷さん。」 龍月を睨み見据える御船。 龍月は、視線を外し、イクトを摩っていた手で イクトの頭を撫でると再び御船を睨みつける。 『それは失礼しました。 勿論、修理費はお支払いしますし 手錠の鍵を渡して頂ければ直ちにこの場から去りますよ?』 若干ドスを効かせた声御船と話す龍月。 「嫌です。」 微笑む御船。 『そうですか。』 微笑み返す龍月。 イクトは、震えながら龍月を見上げる。 綺麗な微笑みの龍月から底知れぬ怒りをイクトは感じていた。 ガッンッッ…ガシャーン 柵ごと外し投げ捨てた龍月は イクトの手錠を持った。
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