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機織りの音色が
何時からか軋む赤痣を癒やす
ちくり
時折混じる不可思議な音色
あの日
鉄砲水の濁流に飲まれる家々を
砕かれた田畑を
私は知らない
私は何処から来て
何処へ留まるのか
私の生い立ちは
私の両親は
何処で途切れたのだろうか
もしやこの艶びやかな生糸の一端が
見えぬ運命の
切れ端なのだろうか
ちくり
今年の雲雀はよう鳴いた
縁見合いて
今帰ろ
十五の祀り
さぞ嬉や
赤肌愛し
我恋し
縁見合いて
今帰ろ
夕空に微かに聞こえる童歌は
何時から聞こえていたのだろうか
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