泡沫風靡

3/9
前へ
/10ページ
次へ
機織りの音色が 何時からか軋む赤痣を癒やす ちくり 時折混じる不可思議な音色 あの日 鉄砲水の濁流に飲まれる家々を 砕かれた田畑を 私は知らない 私は何処から来て 何処へ留まるのか 私の生い立ちは 私の両親は 何処で途切れたのだろうか もしやこの艶びやかな生糸の一端が 見えぬ運命の 切れ端なのだろうか ちくり 今年の雲雀はよう鳴いた 縁見合いて 今帰ろ 十五の祀り さぞ嬉や 赤肌愛し 我恋し 縁見合いて 今帰ろ 夕空に微かに聞こえる童歌は 何時から聞こえていたのだろうか
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加