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半月が藍色の夜を白く染める
疼きに身を沈める私に
男の高ぶりが
今宵も癒やしを乞う
濡れた指先が
膨らみの狭間を彩る忌まわしい色を
愛おしげに舐める
濃密な時は
明日も更に先の未来も
此処に在ると信じていた
「ようやく
ようやく宿ったようだ
私はずっと待っていたのだよ
朱の熟する時を
見惚れる朱に咲く
万華の宴を」
ちくり
熱い
熱い
銀髪が微風を操るようにざわめく
僅かに隆起する赤
男は戯れを惜しむでもなく
血の気を欠いてゆく私の頬に
不気味なほど優しく口づけると
華を散らすように
夜の闇に溶けた
蠢く赤痣を引きずりながら
私は男の幻を追いかけた
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