第七話【縄張り】

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二十分程遅れて、彼がやって来た。 立ち上がって待っていた私の前に来ると、悲しみの滲んだ顔で笑う。 「なんとなく想像はついてたけど…。どこかでお茶でもしながら、って雰囲気ではなさそうだね」 「山下さんがそうしたいなら、私はそれでも構いません」 「……フラれるのを人に聞かれるのは嫌だな」 ダメ。 こんな事で目を潤ませたりしちゃ。 私が今この人に出来るのは、容赦無く傷つける事だけ。 その事に私が苦しんでいるなんて、微塵も思わせてはいけない。 私が彼を大切に想っているこの気持ちは、彼の望んでいるものとは違うのだから。
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