第七話【縄張り】

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「展開が、急過ぎない?この間ご飯食べに行った時は、中澤さんも少しは楽しんでくれてると思ってたけど、俺の自惚れだったのかな?」 「違います」 思わず食い気味に言ってしまった自分の言葉に、後悔した。 だけど、あれを "迷惑でした" とは、とても言えそうにない。 「…それは、違います」 「なら、今すぐ決断する必要はないんじゃないかな。そもそも俺はまだ、告白もしていないよ?」 そう、告白なんてされていない。 交際を申し込まれたわけでもない。 しかし彼の気持ちは、お互いに分かっていたはずだ。 彼の目をじっと見据える。 「なら、今言ってください。私の勘違いだったのなら謝ります」 「………勘違いなわけないだろ」
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