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 都心から少し離れたその場所に、それはひっそりと建っていた。  離れたと言っても徒歩で十分程度、まるで時代に置き去りにされたかのようなそんな土地だった。  駅ビルやらデパートやらが建ち並ぶ中心部を横道へと逸れる、するとしっかりとした造りの一軒家が軒を連ねる閑静な住宅街が姿を現す。  住宅街を突っ切るように更に進むと、路は途端に狭くなった。  精々車一台が通れるくらいの路だ。  その先は絶対行き止まりだろうと予想が出来るようなその路を根気強く進むと、路は更に怠惰を始め、幅はそのままで道になる。  そこからは、木々に囲まれた舗装が完全ではない砂利道が一本、誘うように続いていた。  きっと普通の人ならば、道を間違えたのだろうと引き返すか、諦めるだろう。  だが、それを根気良く進んで行ったその先にそれはしっかりと存在していた。  剥き出しのコンクリートで出来た四角い建造物に、完全に和装建築の平屋が側面に激突したかのように移植されている。
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