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 それでいて、気配は満員電車のようにそこかしこからひしひしと感じられるのだ。  昨晩、漫画喫茶へと入った俺は、勿論眠りにつくことなど出来るはずもなく、設置されていたパソコンを使って、求人を検索していた。  しかし、求人情報はゴロゴロとあるにも関わらず、住み込み、飲食店、即雇用となるとめぼしいものは皆無だった。  そして、そんな俺に追い討ちをかけるかのように、携帯に店長さんからの電話が入った。  なんでも店は完全に燃え尽き、併設されていた自宅にも被害が出た為、これを機に田舎に引っ込み新たに店を立ち上げるとのことだった。  それなら新店舗のほうでお世話になれないかとも考えたのだが、まだ火事の後始末等もあり、店の話自体がまだ先の話になるらしい。  流石に今から居候させてくれと言う度胸は無かった。  こうして俺の就職は完全に駄目になった。  慌しい状況で、存在を忘れられず連絡をもらえただけでも幸運だったのかもしれない。  そうなると、当面の問題は住む所だった。
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