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ビジネスホテルでも今の所持金では泊まれるか判らない。
とりあえずは一晩を凌ぐ事を考えるのが先決かも、と目の前の看板と見つめ合う。
インターネットも使えるようなので、求人を探してみるのも手だ。
「入ってみるか……」
呟いて、入口があるであろう狭い通路を見上げる。
細い階段が二階へと続いている。
ドンっ!
いざ階段に足を伸ばそうとした所で、突然背後から、勢いよく押された。
「!?うへっ!!」
重い荷物のせいと片足を上げていたせいで重心が傾き、変な声を出してよろめく。
ガン・・・っ!
そして、反響するような良い音をたてて、俺は顔面から近くの電柱に追突していた。
(痛い……痛すぎる。)
「ってー!」
鼻が完全に潰れたのではないかと思うくらいの痛みに、涙目になりながら視線を漂わす。
どうやら、意図的に押されたのではなく、誰かに後ろからぶつかられたようだ。
ぶつかった奴は既に漫画喫茶に入って行ってしまい、どんな奴だったのかすら確認出来なかった。
きっと、入口の前でもたついていた俺が邪魔だったのだろう。
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