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もう何もかも消えてなくなればいいのに、そう思うほど私は追い込まれていた。
希望なんてない、生まれた時に自分の運命は決まってた。
傷だらけの体で力なく山道を歩く私は、死の国へ向かう廃人のようにやせ細っている。
太陽は沈み始め、水平線は紅く染まっている。
空腹と疲れで目の前の景色はぼんやりしていて、それがとても綺麗で。
あれ……。
どうして私、倒れているんだろう。
……そっか、私もうダメなんだ。
今まで何回泣いてきたんだろう、もう涙も出ないや。
徐々に途切れていく意識の中で、思い出せるのは辛い記憶だけ、だから何も考えずに、ただ目の前に続く長い一本道を見ながら、私はゆっくりと目を閉じた。
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