第1章

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いろいろと調べてみると、タイでの卵子提供は、日本ほど隠すべき事だとは考えられていないようです。 20代の女性の間では卵子を提供し、報酬を得ることがずいぶんと認知されているということでした。 ある意味、アルバイト感覚なのかもしれません。 アメリカでは有名大学内の掲示板で堂々と卵子提供者募集の広告が出ているようですが、タイでも似たような感覚なのかもしれません。 「卵子提供は特別なもの」 そう考えていた私たちにとってはずいぶんとショッキングなことでした。 卵子提供はドナー側にも負担がかかります。 採卵には痛みが伴いますし、薬剤を使用すれば、将来的に卵巣機能が低下するかもしれない、といった危険性が伴います。 おいそれとは踏み込んではいけない事だと思います。 しかし、一方で自分の卵子での妊娠が難しい今、頼らざるを得ない治療であることも確かです。 少し前から、日本でも病気などのため自身の卵子が使えない方のために、ボランティアで卵子を提供する取り組みが始まりました。 大きな希望だと思います。 ただ私は、可能性に期待する一方で、子供が産めなくてかわいそうだから、という理由で卵子を提供されることは素直に受け入れられませんでした。 ただのわがままなのですが、プライドが許さないのです。 今まで男性社会の中で戦ってきた私のつまらないプライドです。 そういう意味では、あくまでビジネスとして卵子提供が行われるタイやアメリカのやり方は、自分自身を納得させることができました。
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