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あと1分。
午後1時を示す時計のメロディーは既に聞いた。1時で、美月の仕事は終わる。
だからといって、ちょうどに終わっていては、余りにも待っていた感があって、それが気まずいので、だいたい美月は一番害がなさそうな1時10分にあがることにしている。
看護師さんとの仕事は、助手と言う名の体のいい雑用係の美月には、肉体はさることながらひどく精神を消耗するものだった。
ようやく今日も仕事が無事に終わる。
「槇原さん!」
主任看護師の呼び掛けに、思わず溜め息を噛み殺した。
「槇原さん、就業前に悪いんだけど、302(さんまるに)号室の患者さん、あなたをご指名よ」
主任の言葉にトゲがある。302号室は特別室だからだな、きっと。
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