忘れ物です

3/8
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
特別室の患者や、親族には、だいたい皆、お近づきになりたいと思ってる。 特別室は、その名の通り特別な患者さんが、入室する。経済力があったり、身分や権力のある人だったり。たまに、世間から身を隠したいって理由の人もいるけれど…。 独身の看護師は特別室の患者相応の旦那探しだったり、もしくはパトロン探し。でなければ、お小遣いをもらえたり、新しい就職先を優遇してもらえたり。 とにかくみんな、特別室には進んで出入りするし、その住人とは仲良くなろうとする。 だから美月は特別室には、普段なら仕事がない。 元々そんな下心もない美月には、関心もなく、無事に1日を終えることのほうが大事なのに。 けれど… 今回の特別室にいるのは、いつもとは違う。 気にしない、何の感情も持っていない、そう思わなければならない患者さんだった。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!