事故

17/30
前へ
/36ページ
次へ
鍵穴にカギを差し込み『カッチ』と音がするまで回す。 ドアノブに手を掛け、力を込めて押せばドアは少し音をたてて開いた。 目に飛び込んできたのは、蒼い海。 廊下を抜けてリビングを通り越し、ベランダに出れば、海が広がっている。 誰もいない砂浜。 誰もいない海。 「どう?いい部屋でしょ」 振り向けば亨さんがシャンパンのボトルを手に持ち、リビングに立っていた。 「うん、すごく眺めのいい部屋だね」 ベランダから部屋に戻り、窓を閉めた。 「ココ、この間の撮影で使ったんだ」 亨さんはシャンパンの栓を音を殺すように抜いた。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

297人が本棚に入れています
本棚に追加